グリコペプチド系抗菌薬

バンコマイシン(Vancomycin VCM)
テイコプラニン(Teicoplanin TEIC)


臨床におけるキーポイント

  • グラム陽性菌専用の薬剤
  • 通常のグラム陽性菌に対してはβラクタム系薬のほうが抗菌力はよい。
  • よって、適応は「βラクタム系薬耐性のグラム陽性菌感染症」である。具体的には、MRSA、ペニシリン耐性肺炎球菌による髄膜炎、アンピシリン耐性腸球菌感染症、が主な用途と思われる。

薬物動態

  • VCMは炎症のある髄液を含む大部分の組織に分布・移行する。
  • VCMの半減期は4時間程度。腎排泄。
  • TEICの骨・腹水・脳脊髄液への移行に関するデータは乏しい
  • TEICの半減期は40-70時間。腎排泄。

抗菌スペクトラム

  • ほぼすべてのグラム陽性菌
  • クロストリジウム・ディフィシル(これもグラム陽性菌である)

臨床応用

  • MRSA感染症
  • アンピシリン耐性腸球菌感染症
  • ペニシリン耐性肺炎球菌の髄膜炎
  • (内服)クロストリジウム・ディフィシル関連腸炎

用法

(バンコマイシン静脈投与)

  • 必ず投与設計/TDMを行う。目安として以下の量ではある。
  • 1g 12時間おきに投与する。
  • 1時間かけて点滴(急速静注はレッドマン症候群を引き起こすことがある。)
  • CCr 30-50ml/min:24時間ごと  CCr 15-30ml/min:48時間ごと
    CCr 10-15ml/min:72時間ごと     CCr 10ml/min以下 3-7日ごと
  • トラフ値が10-15μg/mlを目標に投与するが、MICが1以上の株に対しては15-20μg/mlを目標とする。

(バンコマイシン内服)

  • 通常は125mgを6時間おきに内服する。重症例では500mg6時間おきに投与する。

(テイコプラニン)

  • 6mg/kgを12時間おきに3回投与量、引き続き24時間おきに投与
  • CCr 10-50ml/min:48時間おき、CCr 10ml/min以下:72時間おき

MEMO

  • 上記の適応を覚えておくと便利と思います。
  • それ以外のグラム陽性球菌感染症はβラクタム薬で治療可能です。