ペニシリンG (PenicillinG/PCG)

臨床におけるキーポイント

  • 連鎖球菌(肺炎球菌を含む)治療の第一選択薬。
  • ペニシリン耐性肺炎球菌(PRSP)による肺炎には有効だが髄膜炎には無効。

薬物動態

  • 速やかに全身に分布し、炎症を起こした部位のほとんどに移行する。
  • 感染を起こした脳脊髄液でも治療濃度に至るが、耐性菌には無効
  • 前立腺・眼内炎・脳実質などへの移行は不完全である
  • 腎排泄
  • 血清半減期は30分未満。4時間おきの投与もしくは持続静注を行う

抗菌スペクトラム

  • 連鎖球菌(肺炎球菌を含む)治療の第一選択薬
  • 口腔内常在菌による感染症(⇒嚥下性肺炎)治療にも有用
  • 髄膜炎菌、破傷風菌、ウェルシュ菌、梅毒(など、いくつかの稀な感染症)の第一選択

臨床応用

  • 連鎖球菌(肺炎球菌を含む)による感染症(髄膜炎をのぞく)
  • 健常者に起こった細菌性肺炎(≒肺炎球菌肺炎)
  • 誤嚥性肺炎

用法

  • 1200万〜2400万単位/日の分6投与、もしくは持続静注。
  • 日本の常用量をはるかに超えるが、PRSP感染症にはこの程度の量が必要。
  • Ccr 50-100ml/分の軽度腎不全では最大量を(20万単位XCCr(ml/min))とする。
  • Ccr 10-50ml/分の中等度腎不全では最大量1000万単位程度/日とする。
  • 高度の腎不全患者や高カリウム血症の患者には投与に注意する。(100万単位あたり1.7mEqのカリウムを含む)

MEMO

  • まずはペニシリンG → 連鎖球菌(肺炎球菌を含む)用治療薬、と覚えたらよいと思う。
  • 余裕があれば、髄膜炎菌の第一選択薬であることを覚える。
  • 上記のとおり十分量を投与する。
  • ペニシリンGの400万単位がおよそ1gに相当する(1単位=0.27ug)