広域ペニシリン:

アンピシリン(Ampicillin, ABPC)

 

臨床におけるキーポイント

  • 日本ではペニシリンGの代用薬として使用されることが多い。
  • 呼吸器感染症治療薬として、肺炎球菌のほかインフルエンザ菌の多くに有効
  • 髄膜炎治療薬として髄膜炎菌、リステリアに有効。(耐性肺炎球菌・耐性インフルエンザ菌については他剤併用でカバーが必要)
  • 腸球菌感染症、リステリア感染症の第一選択薬である。
  • 通常は、連鎖球菌(肺炎球菌を含む)用治療薬と考えてよい。

薬物動態

  • 体内によく分布し、炎症を起こした部位のほとんどに移行する。
  • 感染を起こした脳脊髄液でも治療濃度に至るが、耐性菌には無効。
  • 腎排泄。
  • 血清半減期は1時間。少なくとも8時間おきの投与を行う。

抗菌スペクトラム

  • ペニシリンGの代用として、連鎖球菌(肺炎球菌を含む)治療の第一選択薬
  • ペニシリンGと同じく、口腔内常在菌による感染症治療にも有用
  • ペニシリンGと同じく、髄膜炎菌、ウェルシュ菌、梅毒に対しても用いられる。
  • 腸球菌、リステリア治療の第一選択薬
  • 高用量(1回1-2g、1日3回)投与で、インフルエンザ菌の多くに有効

臨床応用

  • 連鎖球菌(肺炎球菌を含む)感染症(髄膜炎をのぞく)の第一選択薬。
  • 肺炎球菌インフルエンザ菌に有効で、市中呼吸器感染症治療に好都合。
  • 誤嚥性肺炎
  • その他:髄膜炎にセフェム系と併用(昔はABPC単剤で治療できた)
  • 腸球菌感染症の第一選択

用法

  • 通常、1回1-2g、1日3回(8時間おき)投与を推奨。
  • CCr 10-50ml/minでは1g8時間おき、10ml/min以下では1g12時間おき

MEMO

  • アンピシリンはペニシリンGの代用になる、とまず覚えてみる?
  • 肺炎球菌と思いつつ肺炎に投与するときには、インフルエンザ菌にも効く分、ペニシリンGよりちょっと安心・・・
  • 腸球菌とリステリアの第一選択薬であることも覚えておいて損はしない。 (腸球菌とリステリアにはセフェム系が効かない!)
  • ※セフェム系の苦手な菌:腸球菌・リステリア・嫌気性菌