1.連鎖球菌感染症とβラクタム薬による治療


連鎖球菌が関連する感染症の例

○A群β溶連菌は、細菌性咽頭炎のほとんどの起炎菌。蜂窩織炎・丹毒の主要起炎菌。

○B群β溶連菌(GBS)は、大腸菌とならび早期新生児感染症の主要起炎菌

○口腔内細菌叢の構成要素→誤嚥関連感染や頭頚部~胸部の膿瘍に関与


抗菌薬治療の基本原則

ペニシリンG、アンピシリン/アモキシシリンで治療する。

◯A群β溶連菌感染症に対してはリウマチ熱予防のために10日間投与を行う。


そのほかのβラクタム系薬は?

○原則として、効く。

◯グラム陰性菌用セフェム系薬(セフタジジム)、モノバクタム(アズトレオナム)は効かない。



2. 肺炎球菌感染症とβラクタム薬による治療


肺炎球菌が関連する感染症の例

市中呼吸器感染症(肺炎、副鼻腔炎、中耳炎)の最も多い原因菌

○細菌性髄膜炎の最も多い原因菌である。


抗菌薬治療の基本原則

ペニシリンG、アンピシリン/アモキシシリンで治療する。

◯ただし、耐性傾向がある株による髄膜炎ではバンコマイシン等が必要。


そのほかのβラクタム系薬は?

○セフェム系に対しては少なからず耐性傾向(作用点の変異)がある。

◯一部の第3世代セフェム系(セフトリアキソン、セフォタキシムのみ)を除いて、セフェム系薬による治療は勧められない。



3.まとめ:連鎖球菌・肺炎球菌の抗菌薬治療


連鎖球菌感染症(肺炎球菌を含む)はペニシリンGで治療する。

アンピシリン(点滴)、アモキシシリン(内服)で代用もできる。

肺炎球菌による髄膜炎は、その例外である。