QFTやT-SPOTによる結核感染者スクリーニングの問題点

 結核診断におけるインターフェロンγ遊離試験(interferon-γ release assay:  IGRA)は、抗原に対するTリンパ球からのインターフェロンγの遊離量(クオンティフェロン:QFT)もしくはインターフェロンγを産生するTリンパ球数(T-SPOT)を測定する検査です。

 感度は70%-90%、特異度は59-99.4%と報告されています(Kekkaku 2014 ;89 : 717)。

 米国でヘルスケア関連施設の職員2418名にスクリーニング検査を行ったところ、QFTで4.9%、T-SPOTで6.0%が陽性でした。しかし、半年後のフォローアップではQFT陽性者の76.4%、T-SPOT陽性者の77.1%が陰性化していました。著者らは、これらはQFTやT-SPOTの偽陽性だったのだろうと考察しています(AJRCCM 2014;189:77)。

 日本結核病学会は医療機関の雇入時のQFT検査を推奨(Kekkaku 2010; 85 : 477)していますが、同様に偽陽性が多発する(真陽性よりも偽陽性のほうが多い可能性も高い)と思われ、その結果の解釈や陽性者に対する対処には慎重な検討が必要です。また、検査前確率が低い場合には結核接触者健診の結果についても同様に注意が必要と思われます。

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コメント: 2
  • #1

    38歳 非糖尿病 (金曜日, 24 4月 2015 12:44)

    IGRAの専門家たるS先生に質問させてください。
    T-spot偽陰性の可能性はどれくらい考えるべきなのでしょうか?
    また、1度偽陰性になった症例で再検査する意味はあるのでしょうか?
    (具体的には、T cell lymphoma症例で化学療法中に増悪する肺多発病変でVATSしたところ、器質化肺炎とのコメント。発熱コントロールできず、画像的には普通のCOPとは考えにくい。まさかのT-spot偽陰性ではと考えています。)
    お返事はメールにお願いします。

  • #2

    管理人 (月曜日, 27 4月 2015 23:27)

    私の考えはメールでお送りしました。
    IGRAの解釈や、latent TB infectionの診断は私には結構難しいです。また、結核の公衆衛生的な意味合いも絡んでくるので、なかなか考えがまとまりません。