ネーザルハイフローの有用性

感染と直接関係はないのですが・・・

大好きな(笑)ネーザルハイフローのペーパーを見つけましたので。

 

ネーザルハイフローは加温・加湿した酸素を太い経鼻カニューラで投与する方法です(専用の器具があります)。従来でいうとマスクで多めの酸素がいったり、リザーバーマスクが必要となる症例に使われます。

マスクより患者さんは楽だし、酸素化も保ちやすいし、ずれることも少ないし、医師も看護師も管理がしやすいです。

治療中の患者のQOL改善のみならず、予後も改善したと感じられる症例に出会っています。実感として、これはよい!のです。

日本でも購入できますが、保険点数上の配慮がないので、病院の負担(機器代、酸素代)が増えます。これが問題ではあります。

 

ここから、paperの内容を。

 

方法:

 PaO2/FiO2<300mmHgの呼吸不全を対象に、酸素投与方法を、ネーザルハイフロー群、マスクでの酸素投与群、NPPV群にランダムに割りつけた。

結果:

◯挿管率はネーザルハイフロー群38%、マスク群47%、NPPV群50%で有意差はなかった。

◯Ventilator-free days(エントリー後28日間の)はネーザルハイフロー群が有意に長かった(24±8、22±10、19±12)

◯90日目の死亡のハザードリスクは、ネーザルハイフロー群に対してマスク群(2.01, 95%CI 1.01-3.99)、NPPV群(2.50, 95%CI 1.31-4.78)が高かった。


N Engl J Med 2015;372:2185-96

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    39歳 非糖尿病 (金曜日, 29 1月 2016 16:26)

    ひさしぶりにこのブログに来たら更新されていたのでうれしくなってコメントします。
    僕のイメージでは、通常のO2投与でコントロールが困難なレベルの低酸素(ventilationにするかどうかで悩むくらいの症例)にnasal high flowは使うのかと思っていました。中等度以上の低酸素で有効なんですね・・
    勉強になります。ただし、やはりO2 maskで可能な症例などではやや面倒ではありませんか?

  • #2

    管理人 (土曜日, 30 1月 2016 12:27)

    酸素マスク投与が必要(酸素化がnasal4-5lで保てない)患者さんでは、ネーザルハイフローが有用と思います。

    ◯一般に、ネーザルハイフローの方が患者さんが楽です。そのまましゃべれるし、食事も食べられます。
    ◯ネーザルハイフローの方が酸素化が安定する(マスクよりも、ずれが問題になることが少ない)
    ◯ネーザルハイフローでは呼気の再呼吸が減る。
    ◯少しですがPEEPがかかる
    など、マスクより良いことの方が多いと思います。

    たしかに、はじめのセッティングは必要ですが、あとの管理は楽です。
    数人やってみると、きっとその良さが実感できると思います。