ニューモシスチス肺炎に関するメモです。
(藤井毅 日本臨床微生物学会雑誌 2016;26:195-201)
Pneumocystis(ニューモシスチス)の宿主特異性
Pneumocystis jirovecii ヒト
Pneumocystis carinii ラット
Pneumocystis murina マウス
Pneumocystis oryctollagi ウサギ
Pneumocystis cariniiは、ラットのニューモシスチスだったのですね。。
ニューモシスチス肺炎とβ-Dグルカン
感度 95%(91-97%)
特異度 86%(82-90%)
(Karageorgopoulos DE et al. Clin Microbien Infect 2013;19:39-49)
診断には有用。
短期的な治療効果判定の指標としては限界あり(改善例でも一過性に上昇することあり)。(Koga M et al. Intern Med 2011;50:1397-401)
また、治療期間の決定には用いない(治療終了時にカットオフ値以下になっていることは少ない)。
β-Dグルカンは診断の指標で、効果判定や経過観察には用いない。
ニューモシスチス肺炎の治療薬
第一選択はST合剤
第二選択はペンタミジン
アトバコン1500mg分2の内服は、ST合剤と比較して有効性が劣る(hughes W et al. N Engl J Med 1993;328:1521-27, Dohn MN et al. Ann Intern Med 1994; 121:174-80)が、副作用が少なく使いやすい。副作用などのためにST合剤が継続できない場合、治療開始時に軽症〜中等症であるか、治療変更の時点で病状が安定していればペンタミジンの代わりにアトバコンを第二選択薬として使用してもよい。
やはりST合剤が第一選択、副作用が出て継続できない場合、状況が厳しければペンタミジン、そうでなければアトバコンを選択するか。
ニューモシスチス肺炎と院内感染対策
◯ヒトーヒト間で伝播している。
◯空気感染することが推測されている。(Choukri F et al. Clin infect Dis 2010;51:259-65)
◯PCP患者に対する院内感染対策は必要であり、特に急性期の患者では菌体を拡散させている可能性が高いことから、治療によって菌量が減少するまではPCP発症リスクが高い患者と同室は避け、できれば個室管理が望ましい。
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