ST合剤

トリメトプリム/スルフォメトキサゾール(Trimethoprim/Sulfometoxazole S/T)

 

臨床におけるキーポイント

  • Pneumocystis jiroveci肺炎の第一選択薬
  • その他、グラム陽性菌やグラム陰性菌に幅広い活性をもつ。
  • 日本では添付文書上、「他剤が無効または使用できない場合のみ投与を考慮」とされているため、処方されることが少ないと推測される。
  • 吸収や組織移行は良好である。

薬物動態

  • 経口投与でもよく吸収され、髄液を含め組織に良好な移行を示す。
  • スルファメトキサゾールは肝臓でアセチル化およびグルクロン酸抱合を受け、代謝産物は尿中に排泄される。
  • トリメトプリムは主に腎の尿細管によって排泄され、一部は胆汁中に排泄される。
  • いずれも半減期は9-11時間程度である。

抗菌スペクトラム

  • グラム陽性菌、緑膿菌をのぞくグラム陰性菌に幅広いスペクトラムを有する。しかし、プラスミド伝達により比較的容易に耐性化する。
  • 嫌気性菌には無効
  • Pneumocystis jiroveciに有効である。

臨床応用

  • Pneumocystis jiroveci肺炎の治療ならびに予防内服の第一選択薬
  • ノカルジアに対する第一選択薬
  • 単純性尿路感染症の初期治療薬

用法

  • 1錠がトリメソプリム80mg/スルフォメソキサゾール 400mg
  • トリメソプリムとして1~5mg/kg、6-12時間ごと
  • CCr 10-50ml/分では半量投与、CCr 10ml/min以下は投与を避ける

MEMO

  • 「ニューモシスチス肺炎の薬」と思われているが、意外に広域である。
  • 日本では使用量が少ないため、耐性化がさほど進んでいない。
  • 当院ではMRSAに対して感受性率100%を誇る。ただし、感受性でも臨床効果は不安定であるので、重症例には用いない。