抗緑膿菌活性のある広域セフェム

第四世代セファロスポリン系:セフェピム(cefepime CFPM)


臨床におけるキーポイント

  • 広域抗菌薬。
  • グラム陽性球菌、緑膿菌を含むグラム陰性桿菌に幅広く有効。
  • 主には緑膿菌も想定される感染症や緑膿菌の標的治療に有用

薬物動態

  • 体内によく分布・移行し、髄液にも移行する。
  • 腎臓から排泄される。

抗菌スペクトラム

  • グラム陽性菌では、ブドウ球菌、連鎖球菌をカバーする。
  • グラム陰性菌の大部分の菌に有効。
  • 効かない菌を覚えたほうが早い。MRSAとセフェム系の苦手な菌たち(腸球菌、リステリア、腸管内嫌気性菌(バクテロイデス))

臨床応用

  • 緑膿菌を含む広域抗菌薬であり、適切な用途は限られる。
  • 免疫不全患者の感染症(発熱性好中球減少症)
  • 緑膿菌の標的治療

用法

  • 1g 8時間おき
  • Ccr 10-50ml/min → 1g 12時間毎、Ccr 10ml/min以下 → 0.5g 24時間毎

MEMO

  • セフトリアキソンが緑膿菌にも効くようになったもの、と覚えてもよい。
  • だとすれば、緑膿菌の存在しない感染症に第4世代セフェム系を投与する意義は乏しい(するとしてセフトリアキソンで十分)。
  • セフタジジムがブドウ球菌と連鎖球菌に効くようになった、と覚えるのもよい。
  • 標的治療として投与する場合、対象となる菌はほとんどが緑膿菌だろう。(それ以外はより狭域の優れた抗菌薬が存在することが多い)