1. インフルエンザ菌の起こす感染症


◯呼吸器感染症(副鼻腔炎、中耳炎、肺炎)の起炎菌として、肺炎球菌に次ぐ存在。

◯小児ではb型インフルエンザ菌が髄膜炎を含む重症感染症を起こすことがある。



2. 2つのアンピシリン耐性機序と抗菌薬選択


インフルエンザ菌の標準治療薬はアンピシリン


アンピシリンに対する耐性菌と耐性機序

◯βラクタマーゼ非産生アンピシリン耐性(BLNAR) :35%

  作用点の変異。 

◯βラクタマーゼ産生アンピシリン耐性(BLPAR)    : 5%

  ペニシリン分解酵素産生


アンピシリン耐性株に対して有効な抗菌薬

◯BLNAR(35%):高用量のアンピシリンが低度耐性には有効。

     有効率が高いのはピペラシリン、セフトリアキソン、キノロン。

     →使うとして、セフトリアキソンだろうか・・・

◯BLPAR(5%):アンピシリンは無効。

     βラクタマーゼ阻害薬配合剤か、2世代以降のセフェムが有効。

      →SBT/ABPC、セフメタゾール、セフトリアキソン

◯両方の耐性機序をもつ株(少ないが):セフトリアキソン、キノロン



3.escalationとde-escalationの考え方


escalationの考え方

◯インフルエンザ菌に対してはアンピシリンで治療する。80%程度有効。

◯耐性菌が確認された時点で抗菌薬を変更(セフトリアキソンに)する。


de-escalationの考え方

◯インフルエンザ菌に対してセフトリアキソンで治療する。100%有効。

◯感受性検査にて感受性であればアンピシリンに変更する。

 

escalationとde-escalationの考え方

◯どちらがよいかはケースバイケース。

◯life-threateningな感染症に対してはde-escalationがよい。

◯いずれにしても、感受性検査が必須である!